宮城県美術館で『生誕200年 ミレー展』を開催 11/1(土)~12/14(日) 前売券の発売は10/31(金)まで

 2014年は、ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875)の生誕200年にあたる年です。

 これを記念し、国内外のミレー作品約80点によりミレーの画業を回顧する『生誕200年 ミレー展―愛しきものたちへのまなざし―』を11月1日(土)~2014年12月14日(日)の日程で宮城県美術館で開催する。

 ミレーは、それまで絵画の主題とはなりえなかった農民の労働の様子を見つめ、宗教性をもたたえた荘厳な農民画の世界を生み出しました。
 その背景には、フランス初の風景画派の誕生の地となったバルビゾン村の自然豊かな制作環境がありました。
 また、幼い頃から育まれた自然に対する畏敬、身近なものへの慈愛がミレー作品の根幹を成しています。
 家族や近しい人たち、大地と自然、そこに根ざして生きる人々や動物たちなど、ミレーは自らが愛情と共感を寄せたものたちをモチーフとし、温かさと尊厳を備えた作品を描きました。
 ノルマンディーの寒村で過ごした子供時代のまなざし、妻と9人の子どもに対する父親としてのまなざしを感じ取ることができます。

 『生誕200年 ミレー展』では、初期から晩年までの作品をご紹介するとともに、家族の肖像や生活の情景を描いた作品に焦点をあてることで、ミレーの作品世界の新たな広がりを楽しめます。
 画風を模索する初期の作品から、バルビゾン村移住後の名品まで、国内外のミレー作品約80点によりその制作の跡を追います。

場所
宮城県美術館
アクセス
会期
2014年11月1日(土)–2014年12月14日(日)
休館
月曜日
(ただし11月3日・24日は開館、11月4日・25日は休館)
料金
一般1,500円(1,400円)
学生1,300円(1,200円)
小・中学生・高校生800円(700円)
( )内は20名以上の団体料金
前売券
一般1,300円
学生1,100円
小・中学生・高校生600円
前売券販売所
宮城県美術館/藤崎/仙台三越/エスパル/チケットぴあ(Pコード:766-388)/ローソンチケット(Lコード:28547)/セブン-チケット(セブンコード:033-143)/イープラス/日専連カウンターアエル店/ニッセンレン・テラス セルバ店/宮城県庁1階売店/仙台縁日/河北新報販売店/みやぎ生協共同購入部

 ミレー展としては過去最大級の本展は4章で構成される。
第1章 プロローグ 形成期
 裸体習作や、油彩による模写など、ミレーの画業形成期に制作された作品を中心にご紹介することで、ミレー芸術の原点に迫ります。
 ミレーは故郷に近いシェルブールで画業を本格的に学び始めます。《アルカディアの羊飼い》はこの頃の作品で、現存するミレーの作品のうち最も古いものの一つ。
《アルカディアの羊飼い》
油彩・カンヴァス
1836-38年頃
トマ=アンリ美術館

 その後、シェルブール市からの奨学金を受け、画壇の中心パリで学び始めます。《男性の裸体習作》はアカデミックな訓練を受けていた時期の作品で、力強い表現の中にミレーの画技の成長を読み取ることが出来ます。このような裸体習作は、当時最も高貴なジャンルとされた歴史画を制作する基礎として、画家が学ぶカリキュラムの中で位置づけられていました。
 ミレーが歴史画家を養成するカリキュラムの中で画業を形成していったことは、《聖ステファノの石打ち》にも見て取れる。この作品はその大きさと主題から、当時の若い画家にとって、エリートコースにのるための登竜門であったローマ賞コンクールの準備のために制作された作品であると考えられています。

第2章 自画像・肖像画
 ミレーが身近な対象に注いだ温かいまなざしを感じ取ることのできる肖像画や、芸術家としての自身を見つめた自画像を中心にご紹介いたします。
 ローマ賞コンクールへの2度の落選、シェルブール市からの奨学金の打ち切りなどを経て、ミレーはシェルブールに戻り、肖像画家として生計を立てようと試みます。
 この時期、ミレーは仕立て屋の娘ポーリーヌ・オノと結婚しました。医師、海軍将校、ブルジョワなどの有力者の肖像画を手がける一方で、妻やその家族を描いた肖像画を多く手がけました。
《青い服を着たポーリーヌ・オノ》
油彩・カンヴァス
1841-42年
トマ=アンリ美術館
© Daniel Sohier

 病弱であったポーリーヌは、結婚して3年足らずで若くしてなくなってしまします。その後、彼女の遺族によって大切に保管されていたミレーの初期作品は、トマ=アンリ美術館にまとめて寄贈されました。
 本章では、トマ=アンリ美術館の全面的な協力のもと、ミレーの肖像画の表現の変遷を追うことの出来る内容となっています。

第3章 家庭・生活
 ミレーが制作した「家族」や「家庭生活」をテーマとした作品をご紹介いたします。1840年代の後半より、ミレーは農民の労働を描いた作品を制作します。1849年からはパリから近郊のバルビゾン村に移り住み、農民画に専心し、農民画家としてその名を知られるようになります。
 ミレーを代表する作品としては、「種をまく人」や「落ち穂拾い」といった、大地での労働を主題としたテーマの作品がよく知られています。
《農民の家族》
油彩・カンヴァス
1871-72年
ウェールズ国立美術館、カーディフ
© National Museum of Wales

 一方で、ミレーは、農村の家庭生活の情景を描いた作品を生涯描き続けました。
 食事のための水汲み、衣服の修繕、裏庭での家畜の世話など、何気ない生活の情景を切り取ったかに見える作品には、自身を近くで支えた妻子や、幼い頃に故郷で共に生活した母や兄妹との記憶や思いが反映していると考えられています。
 日々の営みに温かいまなざしを注いだ画家としてのミレーの姿に迫ります。

第4章 大地・自然
 人は、大地から恵みを受け、子孫へといのちを繋いでいきます。生活を共にする動物もまた、いのちの繋がりを支えています。
 本章では、ミレーの代表的な作風とされる大地での労働する人々の姿や、人々を取り巻く自然風景に焦点を当てた晩年の作品について展観いたします。前章を踏まえることで、ミレーが描いた労働の姿や、身近にある豊かな自然の描写は、人が暮らすこと、生きること、世代をつなぐことと密接な結びつきがあることが明らかになります。
《落ち穂拾い、夏》
油彩・カンヴァス
1853年
山梨県立美術館

 ミレーの初期の大作《種をまく人》に先行する同主題の作例や、《落ち穂拾い、夏》の他、日本初公開のサロン出品作《牛に草を食ませる女》など、充実した内容となっています。

《牛に草を食ませる女》
油彩・カンヴァス
1857-58年
ブル王立修道院付属美術館
© Hugo Maertens, Bruges


関連イベント
講演会: 「親密な画家ミレー 生涯と作品」
講師・井出洋一郎(府中市美術館館長、本展監修者)
日時・11月1日(土)午後2時~
会場:アートホール
料金:無料
申込:不要

展示解説
講師:当館学芸員
日時:11月2日(日)、11月24日(月・祝)、12月5日(金)、各日とも午後2時~
会場:アートホール
申込:不要、2階展示室入り口にお集まりください

まちなか美術講座: 「ミレー芸術の広がり モチーフ・技法・名声」
講師:小檜山祐幹 (当館学芸員)
日時:12月6日(土)午後1時~
会場:東北工業大学一番町ロビー4階ホール
料金:無料
申込:不要